君は接客業向いてるよ
自分が人生において重要視することが分かった。
それは、「面白い体験をすること」、「面白い人に出会うこと」だ。
今日は一日、転職するかどうか本気で考えていた。
今考えられる選択肢をいくつか考えた。
①転職する
②仕事をやめて学生になる(大学受験をする)
③アルバイト生活をする
④フリーランスの仕事をする
⑤今の仕事を続ける
この中で最も現実的なのは⑤だろう。
だから、今の仕事をいかに「面白い体験をできるもの」に、
「面白い人に出会える場」にしていくかを考えるのが得策だと考えた。
まあ、3年は続けてみようかと思う。または、次の部署を経験してみるまでは、様子を見てみようと思う。
もし転職するにしても「3年粘ったけど、やっぱり合わないと思ってやめました」と言ったら説得力あるしね。
ありふれた考え方かもしれないけれど、今日この考え方がとてもしっくりきたのだ。
自分で考えて行動した上で得た結論だから納得できるのかもしれない。
今日、面白い体験をしたんです。
前回のブログ記事を書いた後、私は一人カラオケに行き、
その後カレーを食べようと思って、よくランチで食べに行っていたカフェに向かった。
いざ店に入ると、カレーはランチ限定だったらしく、夜はbarになっていて、お酒とおつまみくらいしかない。
店員さんに「お席はカウンターか2階どうぞ」と言われた。
今日はロングスカートを履いていて階段は上りづらいから、カウンター席に座ることにした。
席に座ってキティを頼む。甘いのが飲みたかった。
すると、横に座っていたおじさんが声をかけてきた。
「いつも一人で飲むの?」
この店のオーナーだという、そのおじさんは私に色々な話をしてくれた。
仕事の話から子供の話、常連さんの話。青年海外協力隊として働いていた話。
私の仕事を聞かれたが、とっさに「接客業です」と言った。
「仕事に疲れて、一杯飲みたくなったんです」と。
するとおじさんは、「君は接客業向いてるよ!こうしてカウンターに座って、みんなの輪にすんなり入っているじゃないか。話の相槌もすごく上手いよ!」
子供の頃から人と話すことに苦手意識があった私は、この言葉がものすごく嬉しかった。
たとえお世辞だとしても、こんなに嬉しい言葉はなかなか無いなと思った。
おじさんは言う。
「俺はね、人が好きなの。話しかける時も、単純に相手に興味があるから話しかけてるの」
「『はい、話しましょう』って言われたって、そんな話せないでしょ?」
「俺は、人はそんなに俺に興味ないってわかってるの」
「あのイケメン(スタッフの男の子を指さして)は、お客さんと話す時の最初の一言が苦手なんだよなあ。身構えてしまうんだよね。
それはあいつがイケメンだから、これまで話しかけられる側だったからなんだよ。腹立つよなあ」
「俺は客にも説教するよ。俺は接客らしい接客とかしたことないんだよ」
すると、その横にいる常連だというおじさんも話す。
「自分は障がい者施設を経営しているんだけどさ、やっぱり利用者さんからどう思われるとか気にしてたら、早々に事業畳んでたと思うんだよ。
あいつらは自分と同世代くらいで、一緒に馬鹿な事話してるときが仕事やってて一番楽しい。だから続けられている。喧嘩もするしね」
変に気を遣うっていうのは、自分が相手から嫌われないことを意識しすぎているということなんだ。
それは相手にも伝わるし、見えない壁となって人を遠ざけるんだ。
このbarで出会った人たちは、初対面の私にも、
これまでの経歴とかいつも考えていることとか自分の馬鹿な話をバンバンしてくる。
私も私で、それらの話が面白くて、手を叩いて笑ってしまう。
それから、今日は来ていない常連さんの話も聞いた。
この店のオーナーのおじさんが昔パラグアイで青年海外協力隊をしていた話を聞いて興味を持ち、
自分も青年海外協力隊になってモザンビークに派遣された大学生の男の子。
予備校生の頃からこの店に通い、大学生になって「将来は少年院の相談員になりたい」という夢をもち、
少年院について学ぶためノルウェーに留学したという女の子。
自分が住んでいるこの街には、こんなにも面白いことをやっている人たちがいたんだと知った。
それだけでもすごくワクワクしてきた。
それから、自分もそんなふうに面白い人間になりたいと思った。
「面白い人」に共通しているのは、みな自分主体で生きていることだ。
自分が相手に興味あるから、話しかける。
自分が将来〇〇になりたいから、今〇〇をやる。
こうして言葉にしてみるとすごく単純なことだ。
でも実際にやろうとすると、周りの目が気になって、なかなかできないことだ。
私はこれまで他人主体で生きすぎたんじゃないか。
「自分がやりたいから、やる」
例えそれで失敗したとしても、自分が心からやりたいと思ったことなのであれば、少なくとも後悔はないだろう。
帰り際、「またいつでもおいで」とオーナーや常連さんに見送られて店を後にした。
外の空気はひんやりしていて、体の中にまで風が通ったような清々しい気持ちだった。
駅の中を地下鉄の改札に向かって歩く。その時、私はいつもより上を向いて歩いていたんだろう、天井のライトが六芒星になっていることに気が付いた。
23年間この街に住んでいて、この駅を何百回と通ってきて、今初めて気づいたのだった。
そんな気づきが嬉しくて、楽しくて、これからどうやって生きていこうかと考えるだけでもワクワクした。
できるだけ面白い体験をして、できるだけ面白い人に出会いたい。
人生のテーマはこれで良いじゃないか。
それだけでも、ブレブレだった自分の指針が決まったようで、嬉しかった。